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スパイラルアップ株式会社 代表 原 邦雄
株式会社スパイラルアップ |
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最近、飲食店で働くスタッフの育成はもちろん、採用の流れ、時代の流れが変わったという実感がありませんか。
複数の大手飲食チェーン経営者、人事部や教育部、そして現場の店長に聞くと、とにかく採用ができない、シフトが埋まらない……。今、これを読んでいるあなたのお店はいかがですか。
飲食店は大学生に不人気業種と呼ばれていますが、本当に不人気なのは業種ではなく、“仲間意識、支え合う文化” “自由に意見を言い合える文化”がない企業や組織なのです。
いくら商品が良くても、サービスが良くても、人員がそろわずに閉店する飲食店が増えていくことでしょう。ですから、このことに気付いているうちに次の手を打たなければいけません。しかも、売上げは落とさずに……。では、どのような方法があるのでしょうか。
そこで、スタッフをほめることを習慣にするための店長セルフチェック型「ほめ日報」をご紹介します。
売上げにつながるスタッフの行動をほめる
その例として「居酒屋てんてん」(大阪・堺市)のものをご紹介しましょう。
何をほめるのか。それはスタッフの行動です。売上げにつながる行動、しかも自店のスタッフが行動可能な目標でなければなりません。「店長がどのようなお店にしたいのか」というコンセプトを日報にすることにより、優先順位が明確になるのです。現場スタッフの優先順位を上げること、忘れ防止が行動を変えるのです。生理学研究所の定藤規弘先生もおっしゃっていますが、人はほめられるとその行動を忘れなくなる、記憶に留める傾向があるのです。
そして、その行動項目を5段階評価にします。5段階評価といっても3はありません。日本人は3ばかり付けるからです。3という評価は良いのか悪いのか分かりません。ただ3では再来店にはつながらないのは事実です。だから3は不要なのです。
では、売上げが上がる行動項目を決める方法をお教えします。
この4点は必ず入れてもらいます。
(1)お店の評価の65%は第一印象と最終印象で決まること
(2)お客さまは忘れる動物であるから忘れられない工夫をすること
(3)お客さまは一対一の関係性を求めていること
(4)お店の重点課題
この4点の中で、お店のスタッフのレベルを考えて、行動可能な行動目標を具体的に書いてください。
今回事例に出している居酒屋は、社長と店長との売上げアップコミュニケーションツールにも活用しています。コミュニケーションで最も大切なことは目的の共有化です。目的は繁盛店づくり。前日のテレビの話題やプライベートのことでコミュニケーションを取るのではなく、あくまで繁盛店づくり、お客さまの喜びを目的にするのです。注意しないといけないのは、減点評価ではなく、加点評価にすることです。
加点評価をすることで、店長や現場スタッフの行動の優先順位が上がり、お客さまにどのような行動を常にしたらよいのかを考えるのです。もっとシンプルに言うと、何をしたらほめられるのか、ほめる材料を事前に提示するのです。そして、最終的にはお客さまにほめられ、売上げが上がるという仕掛けなのです。
“記録”することが“次へ”の土台となる
飲食店のスタッフがする行動は、日々ルーティンが多いので、同じことの繰り返しのように見えますが、お客さまの状況、シフトの状況によりまったく変わります。優先順位が混乱しやすい業種なのです。優先順位を明確にしてあげ、記録できるツールにすることにより、記録できるのです。記録できれば、効果検証と次の戦略・戦術の土台になります。
私のクライアントにはほぼ100%ほめ日報を活用してもらっています。現場のスタッフ(アルバイト)からも「この日報を使うようになってから、お店の雰囲気が変わりましたね」という声が多いのは、店長との共通言語ができた証拠です。
次に、居酒屋てんてんのほめ日報の中のETOMというアルファベットを説明します。経営理念やビジョンを言葉にされている会社もあると思いますが、現場スタッフはその重要性が分かりません(最近は教育されている企業も多くなってきていますが)。経営理念の代わりに、一行理念や理想のお店をアルファベット3、4文字にしてもらっています。
ETOMとは、
E=笑顔で
T=タイミングよく
O=おいしい料理を
M=間違えずに提供する
ということです。
ETOMを行動に移すと繁盛店になります。理想のお店を行動目標にするために上記(1)〜(4)とETOMのようなメッセージ性があるアルファベットを組み合わせ、日報にします。
ちなみに居酒屋てんてんの経営者の息子さんの名前はトム。いいトム=ETOMという隠れメッセージもあります。隠れメッセージも大切です。他の会社は※AKBやEUPなど、ほめ日報にネーミングしています。
【今月のポイント】
売上げが上がるスタッフの行動の優先順位を見える化し、
ほめるコミュニケーションの材料にする「ほめ日報」を作ろう。